通常ハムというと豚のもも肉を塊のまま塩漬けにして作る骨付きハムやボンレスハムですが、
足のふくらはぎの部分のスネ肉を使いハムにしました。
ではなぜこの部分をハムにしたのでしょうか?
ドイツでアイスバインやシュバイネハクセを食べた経験のある方は、スネ肉がとても美味しいということを
知っていらっしゃると思います。
アイスバインは、豚スネ肉を、タマネギ、セロリなどの香味野菜やクローブなどの香辛料とともに
数時間煮込んで作るドイツ料理を代表する家庭料理です。
シュバイネハクセは、豚スネ肉を皮付きで、ボイルしたものをさらにオーブンで焼き上げるのが特徴で、
低温でじっくりと焼いて皮がパリパリになるまでローストした料理です。
スネ肉は硬いですが、旨味がいっぱい凝縮されているのです。
豚1頭から4つしか取れない部分をあえてハムにしました。
スネ肉はよく動かす部分なので、脂が少なく筋肉質です。
そして良質のタンパク質やコラーゲンを多く含みます。
スネ肉には肉繊維と肉繊維の間にスジが複雑に入り組んでいます。
スジは硬い繊維状のタンパク質(コラーゲン)で細胞間の接着剤の役割をしています。
コラーゲンは加熱することで、軟化(ゼラチン化)し柔らかくなります。
この部分を使ってハムを作ってみることにしました。
味を染み込ませるために10日間塩漬けにします。
この間に肉のタンパク質が分解してアミノ酸になり旨味成分が増えます。
その後燻煙して加熱しますが、まだ少し硬い状態なので、柔らかくする為に加圧加熱します。
味の濃いしっかりした独特の旨味と、歯ごたえのある食感はビールのお供に最適です。